2009年11月1日日曜日

in 2009 OODAKA - in 基本概念 -

私達は個々に具体的な身体を持っていて、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚のいわゆる五感を頼りにして生活しています。それらの感覚は互いに独立しているわけではなく、複雑に交じりあいながら外部(世界)と関わっているのです。そのような世界との関わりの中で、時に、全ての感覚を統合するような全体的な「身体感覚」が存在することに気がつくことがあります。そしてその身体感覚は、物質的な「からだ」の内部や表面にとどまらず、外部(空間)に向かって拡張していこうとする性質を持っています。             
使い慣れた道具ではその先端があたかも指先のようになり、自動車を運転する際には車全体が身体のようにも感じられます。また、自分の部屋の中の物を誰かに勝手に動かされた時に感じる違和感から、部屋あるいは家全体が身体化しているとも考えられます。さらには、住んでいる街にまで身体感覚は拡がっていきます。                         

インスタレーション「in」では、空間を特定し、作家自身の中に無意識的に存在していたそのような拡張する身体感覚を解き放つということを最初のプロセスにしています。                         
「in」においては、空間への身体の拡張は具体的なかたちを伴って行われます。準備制作段階からパフォーマンスとしての「in」は始まっており、時にはその際の過程も公開します。                       

そのようにして身体化された空間の中に「入る」ということが、「in」の次のプロセスになります。拡張された身体の中にもうひとつの身体がある。中に入って内部を眺めたい、というのが「in」を行なうにあたっての最大の動機でした。                              
さらに、拡張された「私の」身体の中に、様々な人達に入ってほしい、鑑賞者を包み込みたいという「願い」へとプロセスは進み、その実現によってインスタレーション「in」は完成を迎えます。同じように様々なかたちに拡張された身体を持つ鑑賞者達を招き入れることで、新しいコミュニケーションの「かたち」を探してみたいと考えています。

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